【導入事例】株式会社JERA
株式会社JERA は、「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、2050年時点での国内外の同社の事業から排出されるCO₂実質ゼロに挑戦する。
今回は発電所構内で利用される避難誘導システムのSaaS化への取り組みについて、株式会社JERAの大澤さんと小澤さんにお話を伺いました。
<プロフィール>
大澤さん:
発電設備エンジニアとして、O&M、建設工事、制御設備設計などの設備関連業務に従事。その後、企画部門にて発電所のデジタル化プロジェクト推進を担当。現在は、IT・デジタル戦略の新モデル構築や、デジタル技術を活用した業務変革の推進に取り組んでいる。
小澤さん:
発電設備エンジニアとして、O&Mに従事。現在は、デジタル技術を活用した業務変革の推進に取り組んでおり、DPPを初めとしたプロダクト開発を担当している。
安全確保のためのSaaS化という選択
ーまずは貴社の事業内容やサービス(プロダクト)について教えてください。
大澤さん:
弊社は燃料の上流開発・調達から発電までのサプライチェーン全体に関わる事業を展開しております。その中で、ICT部門では、事業開発、O&M(運用・保守)・E(エンジニアリング)、最適化、コーポレートの各分野にて並行してプロジェクトを進めており、バリューチェーン全体のDXを推進しております。O&M・Eの領域においては、「発電所の設備と人の仕事」をパッケージ化し、データやAIを活用した高度なO&Mをアプリケーションに実装し、価値を確実に生む仕組みを構築するDigitalPowerPlant(DPP)に取り組んでいます。
私たちはDPPのうちHSSE(Health/Safety/Security/Enviroment)領域の開発に携わっています。今回の取り組みにおいては、災害時に発電所入構者の安全を守る避難誘導サポートシステムを構築しております。
ー避難誘導サポートシステムの開発に至った背景を教えてください。
大澤さん:
JERAでは、「JERAゼロエミッション2050」の実現のために、水素やアンモニアを大量に取り扱うことになります。その一環として、世界初となる大型商用石炭火力発電機における**燃料アンモニア転換の大規模実証試験(熱量比20%)**を、JERA碧南火力発電所(愛知県碧南市)にて実施しました。(本実証試験は2024年4月から6月まで実施)
アンモニアは毒劇物であるため、万が一発電所構内で漏洩が発生した場合でも、構内で働く全ての方が安全に避難できるよう、避難および誘導を目的とした機能の提供を計画しました。
JERA碧南火力発電所における燃料アンモニア転換実証試験を開始―世界初となる大型の商用石炭火力発電機でのアンモニア20%転換の実証― | プレスリリース(2024年) | JERA
また、働き方改革の推進も理由の一つです。属人化された業務を、体系化された仕組み(システム)として構築し、安全確保に関わる情報の提供および情報収集の時間を最短化することは働き方だけでなく、より安全性を高める上でも重要なポイントでした。
ー避難誘導サポートシステムで実現したいことは何でしたか?
小澤さん:
発電所構内に入構するすべての方が、自身の安全を確保できるようなサービスを提供することです。
そのためにはいくつかの壁を乗り越えなければなりませんでした。まず、発電所には社内の人間はもちろん、社外の方の出入りもあるので、構内の全ての人がアクセスできる環境を整備する必要がありました。その上で、セキュリティを担保する必要もありますし、有事の際に不具合で使えないというようなことが起こらないように、維持・保守が容易なシステムである必要があります。
スクラムチームとSaaSus Platformで開発を加速
ーSaaSやSaaS開発についてはどのようなイメージをお持ちでしたか?
小澤さん:
SaaSについては、汎用的なものでより多くのユーザーが簡単に利用できるようなイメージを持っていました。またSaaS開発に関しては、弊社のような事業会社ではなく、IT会社がよりスピーディーに市場に合わせて開発をしているイメージだったので、我々の業務やナレッジをバーティカルSaaSとしてリニューアルするというのは興味深かったです。
ープロジェクトの体制について教えてください。
大澤さん:
JERAのICT部門にとっても新しい取り組みであるため、各所からのサポートを受けながら、スクラムチーム体制で取り組みました。
企画・体制組成:デジタルトランスフォーメーションU
専門家チーム:セキュリティ、ネットワーク
技術サポート:AWS社(ソリューションアーキテクト)、アンチパターン社(SaaSus Platform開発支援)
商品企画:営業部門
プロダクトオーナー:O&M部門
開発チーム:ICT部門(+開発ベンダー)
ーSaaSus Platformを利用した感想を教えてください
小澤さん:
SaaSus Platformは非常に直観的で分かりやすく、ユーザー管理に関しては不慣れな私でも簡単に利用できるものでした。SaaSなのでユーザーが増える前提ですが、操作としては少ないリソースで対応できるように感じております。また、今回はJERA保有の発電所入退構システムに連携して、ユーザー管理を行っていますが、そのシステムに乗らない一時的なユーザーへの対応も実施しております。こちらについてはQRを用いた権限付与となりますが、これまで対応外としていた方々にサービス提供ができるようになったため効果があったと感じております。
また、認証や請求といったSaaSとして必要な一般機能が網羅されており、業務的に必要な機能開発に注力できる部分がメリットと感じました。
SaaSを展開し成長させていく
ー貴社の事業の今後や避難誘導サポートシステムの見据える未来について教えてください。
大澤さん:
今回開発した避難誘導システムについては、現在、社内の26発電所への展開を進めており、発電所構内で働くすべての方の安全確保に注力しています。一方で、実際に利用される社外のお客様のご意見を伺いながら、お客様のニーズに沿ったサービスの提供を検討していきます。
ーSaaSus Platformに今後期待することは何ですか?
小澤さん:
JERAは日本国外でも事業を展開しているため、社内では国内外で活用できる標準環境の設計を推進しています。今後は、日本国外でも利用可能な環境やサービスの提供を期待しています。
ーSaaSus Platform、10Days SaaSificationの導入を検討している方に何か一言ありますか?
大澤さん:
SaaSサービスの提供を検討する際、以下の2点が大変心強いと感じました。
まずSaaSus Platformに関しては、SaaS開発に必要な機能を標準的に提供してくれることです。SaaS開発を経験していないと、そもそもどんな機能が必要なのか?というところから考えなくてはいけませんが、SaaSus Platformを利用すれば開発の工数だけでなく、リサーチや検討の手間や時間も削減できます。10Daysについては、SaaS環境の開発サポートを受けられることは大きな魅力だと感じました。
開発スピードが劇的に向上し、当社の通常の開発期間の約1/3の期間で提供することが可能となりました。SaaS開発に不安があったり、課題を感じている方には、10Days SaaSificationそしてSaaSus Platformの活用をおすすめしたいです。
ーありがとうございました!
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