SaaS開発ガイド【基礎編】

日本のSaaS市場は急速に成長しており、多くの企業が効率的なビジネス運営を支援するためにSaaSソリューションを導入しています。APIを活用することで複数SaaSを連携して業務効率を高めたり、自社で開発するサービスの一部をAPI連携したSaaSに委ねたりなど、APIを活用することでSaaSはさらに拡張性が高まります。
この記事では、SaaSが提供しているAPIを紹介します。
API(Application Programming Interface)は、異なるソフトウェア同士が情報をやり取りするための手段や取り決めです。イメージとしては、APIはソフトウェア同士がコミュニケーションするための窓口やルールブックのようなものです。
具体的には、APIはソフトウェアやアプリケーションが他のソフトウェアとやり取りするための方法を提供します。例えば、ウェブサイト上の天気情報を表示する場合、気象情報の提供元がAPIを公開しています。開発者はそのAPIを利用して、自分のウェブサイトに天気予報を表示することができます。他にも、APIは私たちが利用するアプリやサービスの多くに使われています。例えば、地図アプリは位置情報サービスのAPIを使用して地図や経路情報を提供し、オンラインショッピングサイトは決済サービスのAPIを利用して安全な決済処理を行っています。
APIがなぜ重要なのか、その代表的な理由を3つ紹介します。
APIを使用することで、異なるSaaS同士を統合し、相互の機能を拡張することができます。たとえば、プロジェクト管理ツールとタスク管理ツールをAPIで連携させると、プロジェクトの進捗状況に基づいてタスクの自動更新や通知が可能になります。これにより、効率的な作業フローを構築し、生産性を向上させることができます。
SaaS同士をAPIで連携すると、異なるシステム間でのデータの一元化や共有が容易になります。例えば、CRM(顧客関係管理)ツールとメールマーケティングツールをAPIで連携させると、顧客の情報や購買履歴を自動的にメールマーケティングに活用することができ、パーソナライズされた施策を打つことが可能になります。
APIを使用することで、SaaSを自社のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。APIを介してデータや機能にアクセスすることで、開発者は独自のアプリケーションやツールを作成し、ビジネスプロセスを最適化することができます。例えば、SaaSのプロジェクト管理ツールにAPIを組み込んで、自社のタスク管理ツールとの連携を実現することができます。
これらのメリットにより、APIを使用してSaaS同士を連携させることで、効率的な業務フローの構築、データの一元化と共有、柔軟なカスタマイズが可能になります。また、APIの利用は開発者にとっても魅力的であり、新たなアプリケーションやサービスの開発が促進されることもあります。
では、次の段落からAPIを公開しているSaaSを紹介します。
freeeのAPIの代表的な例として、会計データの取得と更新ができます。会計データ(取引、勘定科目、税金情報など)にアクセスし、取得や更新を行うことができます。これにより、他のシステムやアプリケーションとの統合が容易になります。例えば、顧客管理システムや在庫管理システムとの連携などが可能です。
他にも、請求書や経費の作成と管理、税務関連のデータ(源泉徴収票や確定申告書など)を取得できます。
詳しくはこちら:https://developer.freee.co.jp/reference/accounting
FX4クラウドのAPIの代表的な例として、取引先の取得ができます。取引先の担当者情報などを取得でき、手動でのデータ入力作業を省略し、正確性と効率性を向上させることができます。
他にも、勘定科目や収支区分の取得が可能です。
詳しくはこちら:https://www.tkc.jp/api/fxcloud/dev/
KING OF TIMEのAPIの代表的な例として、勤怠データの取得ができます。従業員の出勤・退勤時間や休暇の情報など、勤怠関連のデータを取得することができます。他にも、勤怠データの登録・更新など既存のデータを更新したりすることができ、外部のシステムから従業員の勤怠情報を自動的に送信する場合などに利用できます。
詳しくはこちら:https://developer.kingtime.jp/
Zoho PeopleのAPIの代表的な例として、従業員データの取得があります。従業員の基本情報(氏名、連絡先情報、雇用形態など)を管理することができます。
他にも、休暇申請や勤務スケジュールの管理などができます。
詳しくはこちら:https://www.zoho.com/people/api/overview.html
kinconeもKING OF TIMEやZoho Peopleと似たようなデータを取得することができます。他にも、勤怠申請や交通費申請なども取得することができます。
ジョブカン経費精算のAPIの代表的な例として、ユーザー情報の取得ができます。新規登録、更新や停止が可能です。
他にも申請書の取得や交通系ICカードのアップロードも可能です。
詳しくはこちら:https://ssl.wf.jobcan.jp/api_doc
stapleのAPIの代表的な例として、領収書の金額や日付、カテゴリーなどの情報を取得することができます。他にも請求書などその他の書類のデータを取得することができます。
詳しくはこちら:https://documentation.staple.io/
ChatLuckのAPIの代表的な例として、ログインデータの取得があります。その他にもシステム通知、チャットボットのAPIがあります。
詳しくはこちら:https://www.chatluck.com/help/ja_JP/api/index.html
LINE WORKSのAPIの代表的な例として、組織やグループのデータの取得があります。他にも、カレンダー機能やファイルのアップロード、ダウンロードができます。 詳しくはこちら:https://developers.worksmobile.com/jp/docs/api
slackのAPIの代表的な例として、メッセージの送受信があります。他にも、メッセージの編集や削除、グループ管理なども可能です。
詳しくはこちら:https://api.slack.com/docs
HubSpotsのAPIの代表的な例として、リードおよび顧客データの作成・更新・削除ができます。他にもチャット機能などがあります。
詳しくはこちら:https://developers.hubspot.jp/docs/api/how-to-use-hubspot-api
FreshsalesのAPIでは、HubSpot同様、リードおよび顧客データの作成・更新・削除ができます。他にも連絡先や営業活動の記録などのデータも取得可能です。
詳しくはこちら:https://developer.freshsales.io/api/
KARTEのAPIの代表的な例として、外部チャットボットとの連携があります。これにより、チャットボットとユーザー間でのメッセージの送受信が可能になります。他にもユーザーの行動データの取得などもできます。
詳しくはこちら:https://developers.karte.io/reference/api-v2-overview#api-overview
ReproでのAPIの代表的な例として、プッシュAPIがあります。これにより、プッシュ通知をReproの管理画面からではなく、自社サービスのサーバーや、アプリなどから行うことができるようになります。他にもユーザー情報の変更などができます。
詳しくはこちら:https://docs.repro.io/ja/dev/index.html#id1
FreshchatのAPIでは、会話の取得だけでなく、アカウントやユーザーの管理、画像のアップロードなどができ、既存のワークフローのカスタマイズや特定のビジネス構造への調整などの課題に役立ちます。
詳しくはこちら:https://developers.freshchat.com/api/
BacklogのAPIでは、更新の履歴やアクティビティなどのプロジェクトに関するデータやユーザー情報の取得や追加。更新、削除などブラウザ上で操作できることの大部分をAPIから行うことが可能です。
詳しくはこちら:https://developer.nulab.com/ja/docs/backlog/#
Lychee RedmineのAPIの代表的な例として、プロジェクトの作成や編集があります。新しいプロジェクトを作成したり、既存のプロジェクトの情報を編集したりすることができます。他にもチケット管理やファイルのアップロード、ダウンロードなどのファイル管理も可能です。
詳しくはこちら:https://www.redmine.org/projects/redmine/wiki/Rest_api
SansanのAPIの代表的な例として名刺情報の取得があります。登録した期間で取得や名前の条件一致での取得が可能です。また、名刺画像の取得や登録することもできます。他にも、ユーザーの取得などができます。
詳しくはこちら:https://docs.ap.sansan.com/ja/api/openapi/index.html
SaaSus PlatformはSaaSの開発/運用/販売を支援するSaaSです。マルチテナントSaaSを前提にしたテナント管理機能、ユーザ管理機能、役割(ロール)管理機能、料金プラン機能など、どのSaaSにも必要な管理機能を WebアプリケーションにSaaSus SDK/APIを組み込んでいただくことにより利用できます。
詳しくはこちら:https://docs.saasus.io/docs
紹介したもの以外にもAPIを提供しているSaaSはたくさんあります。導入の際には、どのようなAPIが提供されているかもチェックしてみてください。
E-Book「SaaS開発ガイド」にてSaaS開発に取り組む前に知っておきたい重要ポイントを解説しています。
SaaSに関する基礎的な知識を身に付けたい方はぜひご一読ください。
また、ブログやE-bookで扱って欲しいSaaSに関するトピックやSaaSus Platformについてもっと知りたいことなどへのリクエストを広く募集しています。コンテンツに関する要望や感想がございましたら、こちらからぜひお寄せください。
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