SaaS開発ガイド【基礎編】

SaaS(Software as a Service)は、クラウド上で提供されるサービスのことを指します。ビジネス分野でも広く使われ、顧客管理や販売管理、人事管理など、様々な分野でSaaSが導入されています。
SaaSの中でも、特定の業界や業種に特化した「バーティカルSaaS」や、複数の業界にまたがる「ホリゾンタルSaaS」があります。
一方、近年注目を集めているのが「microSaaS」です。microSaaSとは、小規模なソフトウェアサービスを提供するビジネスモデルのことで、個人や小規模企業が開発・提供することが多いものです。
microSaaSの特徴は下記のようなことがあげられます。
microSaaSは、名前の通り小規模なサービスです。開発に必要な資金や時間が少なく、少数の開発者で開発できるため、個人や小規模企業に向いています。
microSaaSはニッチな市場となるため、ユーザーも一般的なSaaSより少ない場合がありますが、致し方ありません。
microSaaSは小規模なため、開発期間が短く、リリースまでの期間も短いです。そのため、開発したサービスをすぐに提供することができ、市場に早期に投入することができます。
既に数多く参入しているSaaSサービス。それらと差別化するため、microSaaSでは独自性が求められます。例えば、よりニッチなニーズを満たす機能や、顧客のニーズに合わせたカスタマイズが必要です。
開発費用や運営費用が少ないため、microSaaSはコストパフォーマンスの高いビジネスモデルとなっています。また、小規模なサービスであるため、個人や小規模企業でも参入しやすくなっています。
microSaaSのメリットデメリットは下記のようになります。
小規模なサービスであるため、開発・運営に必要な資金や人員が少なくて済みます。そのため、低リスクで参入することができます。
市場に参入している既存のSaaSサービスでは満たせていない、本当に求められるサービスを提供することができます。また、特定のニーズを満たすための小規模な設計であることから、改善や改良がしやすいという利点があります。
小規模なサービスであるため、一定のユーザー数に達するまでに時間がかかり、収益性が低いリスクがあります。
個人や小規模企業が開発・運営する場合、プログラミングやマーケティング、カスタマーサポートなど、必要なスキルが横断的に必要になるため、スキル不足による運営の難しさがあります。
「バーティカルSaaS」は「垂直の」という意味を持ち、医療や不動産など特定の業界や業種に特化したサービスのことを指します。介護事業者を対象とした経営支援サービス「カイポケ」、不動産オーナーと管理会社をつなぐ業務支援システム「WealthParkビジネス」などがあります。
「ホリゾンタルSaaS」は「水平の」という意味を持ち、あらゆる業界に対応した汎用的なサービスのことを指します。コミュニケーションツール「Slack」やクラウド会計ソフト「freee」などがあります。
バーティカル・ホリゾンタルSaaSとmicroSaaSは、SaaSという提供形態は同じです。しかし、microSaaSは、一般的な業界や業種に特化したサービスよりも、範囲を絞ったニッチな市場を狙い、より小規模なユーザーベースに焦点を当てています。
また、microSaaSは、特定の業界向けであるバーティカルSaaSと混同されやすいです。microSaaSが「業界にとらわれず、ユーザーのニッチな課題を解決すること」を目的とすることに対し、バーティカルSaaSは、「特定の業界」の課題を解決するというようにターゲットが広いサービスとなります。
次に、microSaaSを構築する手順について解説します。
まずは、自分が興味を持ち、自分のスキルに合ったアイデアを練ります。microSaaSではニッチな市場を狙い、既存のサービスとは異なる新しい価値を提供することが重要です。
アイデアが固まったら、プロトタイプを作成します。プロトタイプは、実際に動作する機能の最小限のバージョンです。プロトタイプを作成することで、アイデアが実現可能かどうかを検証し、フィードバックを受けやすくなります。
プロトタイプが完成したら、実際のサービスを開発します。開発は、自分自身で行うか、開発会社やフリーランスのエンジニアに依頼することができます。
開発が完了したら、サービスを公開・リリースします。公開したら、ユーザーからのフィードバックを受け取り、改善・改良を行っていくことが重要です。
SaaSは提供し始めてからしっかり運用することが重要です。規模が小さいmicroSaaSでもそれは同じです。
HYPERFURYは、テキストマーケティングツールを提供するmicroSaaSビジネスです。テキストメッセージを用いた個別のマーケティングキャンペーンの作成、管理、実行を行うことができます。例えば、予め作成したキャンペーンの自動送信機能があります。企業は手間を省き、自動的にメッセージを送信することができます。また、データ解析機能により、キャンペーンの効果測定やアクセス解析が可能です。
Plausibleは、IPアドレスやユーザーエージェントを収集せず、EU一般データ保護規則(GDPR)にも準拠し、プライバシーに配慮したGoogleアナリティクスの代替手段となる軽量なオープンソースのWeb分析プラットフォームです。Google Analyticsのように画面遷移を追跡することはできないものの、リアルタイムでのデータ収集と分析に特化しています。
Calendlyは、Google、Outlook、iCloud Calendarなど複数のカレンダーと連携することができ、会議の日程調整などのスケジュール調整の手間を軽減することができるサービスで、microSaaSの一種とされることがあります。まだ日本語版はありませんが(2023年3月時点)、世界で1000万人以上に使われています。microというワードとのギャップを感じるユーザー規模のサービスですが、「日程調整」という限られたニーズに応えているという点で、これもmicroSaaSの一種とされる場合もあります。
microSaaSは、大企業が手がけるような大規模な市場を狙うのではなく、ニッチな市場を狙うことが重要です。業界や業種、特定のユースケースに特化したサービスを提供することで、より専門的なニーズに応えることができ、競合他社との差別化もしやすくなります。
ユーザーの声に耳を傾けることはどのビジネスでも重要ですが、特にmicroSaaSにおいてはユーザーからのフィードバックを重視することが必要です。ユーザーのニーズに合わせた機能の開発や改善を行うことで、ユーザーの満足度が高まり、リピート率も向上することが期待できます。
効率的なマーケティング戦略を構築することも大切です。有料広告やSEO対策、SNSなどを活用し、ユーザーを集めましょう。他にも、既存のユーザーからの紹介や口コミを増やすことで、継続的なユーザー獲得につなげることができます。また、ProductHunt(https://www.producthunt.com/)のような新規プロダクト掲載サイトへの投稿なども検討して認知拡大を図りましょう。
microSaaSは、今後も更なる成長があると予測されます。身近なところにアイディアがあるはずです。どんなサービスがあると便利になるか考え、形にしてみませんか?
microSaaSのアイディアをブラッシュアップするサイト(https://microsaashq.com/)もあるようなので、参加してみてもいいかもしれません。
是非、あなたの「あったらいいな」を実現させましょう。
E-Book「SaaS開発ガイド」にてSaaS開発に取り組む前に知っておきたい重要ポイントを解説しています。
SaaSに関する基礎的な知識を身に付けたい方はぜひご一読ください。
また、ブログやE-bookで扱って欲しいSaaSに関するトピックやSaaSus Platformについてもっと知りたいことなどへのリクエストを広く募集しています。コンテンツに関する要望や感想がございましたら、こちらからぜひお寄せください。
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