【導入事例】DigKnow株式会社
独自ロジックで挑む、AIコーディング時代の「仕様ブラックボックス化」という深い課題
伊藤 悠一 様 (代表取締役/CEO)
近年、生成AIの普及でコード生成が身近になった一方、開発現場では設計意図や仕様が属人化する「仕様のブラックボックス化」が深刻な課題となっています。この課題を構造的に解決すべく、2025年10月に設立されたのがDigKnow株式会社です。
同社は、長年ITエンジニアとして現場に携わってきたメンバーの経験をもとに、技術ドキュメント自動生成・追従サービス「Codeledge(コードレッジ)」を展開しています。
▶ Codeledgeの詳細を見る :https://codeledge.co/
ーまずは、貴社の事業内容やサービス「Codeledge」について詳しく教えてください。
伊藤さん(代表取締役/CEO):
Codeledgeは、GitHubなどのソースコードリポジトリを連携するだけで、AIがコードを自動的に解析し、概要仕様書や詳細仕様書、フローチャート、シーケンス図といった技術ドキュメントを生成するサービスです 。最大の特徴は、リポジトリが更新されるとドキュメントも自動で最新の状態に追従し続ける点にあります 。現在はSaaSモデルのβ版をローンチしており、エンタープライズモデルの契約も随時受け付けています。
ー なぜ、このサービスを受託開発などではなく「SaaS」として展開しようと考えられたのでしょうか。
伊藤さん:
私たちが解決しようとしている『ドキュメントが整備されない、あるいは作ってもすぐに陳腐化してしまう』という問題は、特定の業界や企業規模に閉じたものではありません 。ソースコードを扱うすべての開発組織が抱えている普遍的な課題です 。だからこそ、特定のお客様向けの受託開発に留めるのではなく、広くアクセスできるSaaSとして提供することで、より多くの開発現場の生産性を底上げしたいと考えました。
コードは残るが、仕様は誰も知らないといった、属人化や技術的負債の蓄積、引き継ぎコストの増大は、AIコーディング時代においてむしろ加速しています。Codeledgeは、コードという最も信頼できる一次情報からドキュメントを生成し続けることで、この課題を構造的に解決し、開発現場の生産性と品質を同時に引き上げることを目指しています 。
ただ一方で、Codeledgeをできるだけ早く市場に投入するためには、大きな課題もありました。 それは、アプリケーションとしてのコアロジック開発と、それを広く届けるためのSaaS化の基盤構築をいかに両立させるか、というリソースの配分問題でした。
希少な「時間と集中力」の投資先──SaaS共通基盤を任せる「事業のパートナー」としての選択
桑原 脩 様 (CTO)
CodeledgeのSaaS化を進める中で、当社は開発体制やリソース配分について重要な判断を迫られていました。特に立ち上げ期のスタートアップにとっては、開発に使える時間やエンジニアリソースが限られています。そのため、Codeledgeをできるだけ早く市場に届けることを前提に、どこに開発工数を集中させるべきかを慎重に検討していました。
ーSaaS化にあたって、技術的に自力で開発すると工数がかかると懸念していた機能や、当時のイメージはどのようなものでしたか?
桑原さん(CTO):
マルチテナント対応や課金基盤を自前で実装しようとすると、我々のコアである解析エンジンの開発リソースが削られてしまうという懸念がありました。具体的には、テナント、ユーザー、ロールといった3種類の情報を整合的に扱う管理機能やWebコンソール、さらには料金プランの定義やStripeなどの決済機能との連携部分です 。元々、SaaS開発はアプリケーションそのものを作るだけでなく、マルチテナント環境を安全かつ安定的に運用するための基盤づくりに大きな工数がかかるという認識がありました。
社内で、限られた開発リソースをどこに集中させるべきかを徹底的に検討した結果、自社での共通基盤開発をスキップし、外部の認証・マルチテナントSaaS基盤を活用する方針を選択しました。
その検討を進める中で、2025年開催の技術カンファレンス「Developers Summit 2025 Summer」で「SaaSus Platform」と出会いました。当時はまだ資金調達の直前フェーズであったため、すぐに実装へと移ることはできませんでしたが、調達完了後の本格的な開発スタートを見据え、水面下で最適な選択肢としての検証を進めていきました。
ー市場にある他の基盤サービスと比較して、最終的にSaaSus Platformを選んだ「決め手」は何だったのでしょうか。
伊藤さん:
単なるプロダクトとしての機能の充実度だけでなく、運営元であるアンチパターン社様が、実際のSaaS開発や運用に関する知見をしっかり持たれていた点が大きかったです。単に機能を提供するサービスというより、“SaaSを運営していく上で必要な考え方やノウハウも含めて相談できる存在”だと感じました。そうした部分も含めて、長期的に信頼できると感じたことが導入の決め手になりました。
開発期間を1ヶ月短縮し「正確性」へ集中、目指すはエンタープライズ領域への拡張
川井 郷史 様 (COO)
伊藤さん:
SaaSus Platformを導入したことで、当社ではSaaS運営に必要な共通基盤の開発負担を大きく削減することができました。
初めて扱う基盤サービスだったため、導入初期には仕様確認などで試行錯誤する場面もありましたが 、メールやショートミーティングを通じた柔軟なサポートもあり、大きく開発が止まることはありませんでした。
ーSaaSus Platformの導入によって、本来自分たちで作らなければならなかった機能をどれくらいスキップでき、どの程度のリリース期間短縮に繋がりましたか?
桑原さん:
テナント・ユーザー・ロール管理の画面や認証フロー、料金プラン管理、Stripe連携を含む請求処理など、SaaS運営に必要な共通機能を大幅に 任せることができました。管理コンソール周りまで含めて自前開発の範囲を減らせたので、開発負荷はかなり軽くなったと思います。実際、リリースまでの期間も約1ヶ月は短縮できた実感があります。
また、マルチテナント運用や課金基盤についても、こちらの運用イメージに合わせて柔軟に相談できたので、不安なく進めることができました。工数削減ももちろん大きかったのですが、それ以上に良かったのは、開発チームが“どこに集中するか”を明確にできたことです。導入前は、共通機能の設計・実装と、Codeledge独自のコアロジック開発を並行して進める想定でした。ただ、SaaSus Platformを導入したことで、共通基盤側の負担をかなり減らせたので、その分、私たちはCodeledgeならではの機能改善に集中できるようになりました。
伊藤さん:
最近は、AIにそのまま解析を任せるような類似サービスも増えてきていますが、私たちは“ドキュメントとしてどれだけ正確か”をかなり重視しています。そのため、CodeledgeではAIだけに依存するのではなく、ルールベースの解析ロジックも組み合わせながら、コード構造の変化を正確に捉えられるようにしています。こうしたコア部分の改善や精度向上に集中できたのは、SaaSus Platformで認証やマルチテナント管理などの共通基盤を支えてもらえていたことが大きかったと思います。
ー 今回SaaSモデルを無事にローンチされたことで、今後はどのようにサービスを成長させていきたいですか。今後の展望をお聞かせください。
川井さん(COO):
これまでは、一部のお客様向けにサービスを提供していました。今回SaaSとして提供できる基盤が整ったことで、今後はより多くの開発組織に使っていただけるサービスにしていきたいと考えています。
具体的には、対応言語や生成できるドキュメント種別を増やしていくことに加えて、料金プランの柔軟化や、エンタープライズ向けの機能強化にも取り組んでいく予定です。
特に大手企業では、ソースコードを外部環境やAIに預けることへのセキュリティ面の懸念が大きいと感じています。そのため、オンプレミス環境への対応や、クローズド環境で利用できるローカルLLMの活用なども視野に入れながら検証を進めています。こうした要件にも柔軟に対応していきながら、より幅広い開発現場で使っていただけるサービスにしていきたいです。
ー最後に、SaaSus Platformの導入を検討している他のスタートアップや開発者の方々へメッセージをお願いします。
伊藤さん:
スタートアップは、どうしても開発リソースや時間が限られています。その中で、どこに集中するかはすごく重要だと思っています。
私たちの場合は、認証や課金、マルチテナント管理といったSaaSの共通基盤をSaaSus Platformに任せられたことで、Codeledgeのコア機能開発にしっかり集中することができました。
もし同じように、SaaSとして必要な機能をどこまで自前で作るべきか悩んでいれば、一つの有力な選択肢になると思います。
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