【導入事例】NTTタウンページ株式会社
電話帳からデジタルへの大きな転換点
ーはじめに、今回のプロジェクトが立ち上がった背景を教えてください。
三上さん:
NTTタウンページは、長年『タウンページ(電話帳)』というメディアを通じて、地域社会の情報インフラとしての役割を担ってきました。しかし、社会全体のデジタル化が進む中で、紙媒体の役割は大きな転換期を迎えています。事実、電話帳は2026年3月末で発行を終了し、私たちにとってデジタルへの事業転換は、単なる新規事業の開発ではなく、会社の存続をかけた最優先事項でした。
現在は、これまでに培った信頼性と全国規模の事業者データベースを基盤に、中堅・中小企業の成長を支援するデジタルマーケティング企業への変革を目指しています。Web広告運用やホームページ制作など、提供サービスを広げる中で、私たちが保有する膨大な企業データをいかにデジタル時代に即した形で提供するかが、プロジェクトの大きなテーマとなりました。
ー具体的には、従来のデータ提供モデルにおいてどのような限界や課題を感じていたのでしょうか。
三上さん:
従来のデータベース販売モデルは、いわばアナログな注文販売でした。お客様からの要望を営業担当がヒアリングし、社内で条件に合うデータを抽出し、ファイル形式で納品するというプロセスです。これでは、お客様がデータの中身を実際に確認できるまでに数日のタイムラグが発生します。
また、情報の中身についても課題がありました。これまではエリアや業種といった基礎的な情報が中心でしたが、現代のマーケティングにおいて求められているのは、企業の売上高や従業員数、さらには「今、その企業が何に関心を持っているか」という動的な属性情報、いわゆるインテントデータです。
従来の仕組みでは、データの抽出作業そのものが社内の大きな工数となっており、多様化するニーズにスピード感を持って応えることが難しくなっていました。さらに、人手不足が深刻化するお客様の現場からは、「大量のリストに片っ端から電話をかけるのではなく、最初から精度の高いリストで効率的に営業したい」という切実な声が寄せられていたのです。
こうした「スピード」「利便性」「情報の付加価値」という3つの課題を一気に解決するためには、お客様自身がブラウザ上で24時間いつでも検索・抽出できるセルフサービス型のSaaS、すなわち『iタウンDBサーチ』の構築が不可欠であるという結論に至りました。
市場スピードに応えるための選択――外部プラットフォーム活用の決断
ーSaaS型の新サービスを構築するにあたって、技術面や体制面でどのような壁に直面されましたか?
横山さん:
まず直面したのは、SaaSをビジネスとして成り立たせるための基盤機能をどう構築するか、という非常に現実的な課題でした。これまで当社では、システムごとに認証や管理機能を別個で運用していましたが、SaaSとして展開するとなると、話は別です。
具体的には、テナント管理、顧客ごとのID・パスワード管理、そして今の時代には欠かせない多要素認証といった機能を、一からクラウド上にセキュアに構築しなければなりません。社内にこうしたSaaS特有の仕組みをゼロから設計・実装した経験を持つメンバーは少なく、自分たちだけで取り組めば膨大な時間と試行錯誤が必要になることは明白でした。
しかしながら、市場環境は待ったなしの状態です。競合他社が次々と新しいサービスをローンチする中で、基盤部分の開発に半年も1年も費やしている余裕はありませんでした。私たちが本来注力すべきは、膨大な企業データの精度を高めることや、お客様が使いやすい検索UIを作り込むことであって、認証システムの開発そのものではない。この優先順位を明確にしたことで、自社の強みに集中するため、認証は外部のプラットフォームを活用するという選択肢が浮上しました。
ー多くの選択肢がある中で、最終的にSaaSus Platformを導入した決定打は何だったのでしょうか。
横山さん:
一言で言えば、SaaS運営に必要な共通機能が『パッケージとして完成されていたこと』です。私たちが悩んでいた認証や顧客管理、契約管理、さらには将来的な拡張性までが、導入するだけで手に入る点は非常に魅力的でした。
いくつかの候補を比較検討しましたが、SaaSus Platformは『シンプルに実装したい』という私たちの開発ニーズに最も真摯に応えてくれると感じました。実際に管理画面に触れてみると、操作感も軽快で直感的であり、情報の反映も早い。これなら開発現場の心理的なハードルも下げられ、スピーディーに市場へ投入できると確信しました。
この決断により、本来であれば数ヶ月を要する認証機能の実装にかかる工数を抑え、ユーザー価値に直結する検索機能やUI設計といった領域に、より注力できるようになりました。その結果、オンデマンドでデータを取得できるシンプルなUIの実装に繋がっています。
商談がその場で決まる。営業DXがもたらした「爆速」の成果
ーSaaSus Platformを導入したことで、具体的にどのような成果が得られましたか?
三上さん:
本取り組みにより、基盤部分の開発負担を軽減できたことで、結果として短期間でのサービス提供が可能となりました。通常、一から構築する場合に比べ、認証機能などにかかる工数を抑えられたことにより、2~3か月でのローンチに至っています。これにより、競合他社が次々とサービスを打ち出す激しい市場環境において、遅れをとることなく市場投入できた意義は非常に大きいと感じています。
また、提供モデルをSaaS型へ移行したことで、お客様自身の利便性も劇的に向上しました。従来はお客様から条件を伺い、私たちがデータを抽出して納品するまでに数日を要していましたが、現在はログイン後にお客様が自らターゲットを絞り込み、その場でCSVデータをダウンロードできます。このオンデマンド性は、スピードを重視する現代のマーケティングにおいて、お客様から非常に高く評価されています。
ー現場の営業活動においても、変化があったとお聞きしました。
横山さん:
はい、当社の営業チーム自らもこのツールを活用しており、商談の質が劇的に変わりました。これまではお客様から条件を預かり、一度持ち帰って社内で件数を確認してから再提案するという流れが一般的でした。しかし現在は、商談中にタブレットを見せながら、例えば、「この業種で、この地域の新卒募集企業は〇〇件あります」とその場で件数を提示できます。
特にお客様の関心が高いのが、展示会出展や新商品リリースなどの企業の動きを捉えた『インテントデータ』を活用した絞り込みです。ターゲットがその場で可視化されることで、お客様も納得感を持って検討を進められ、場合によってはその場で即決、契約に至るケースも見られるようになりました
セールスリードタイムの大幅な短縮という副次的効果は、私たちにとっても嬉しい驚きでした。
ー最後に、今後の展望とSaaSus Platformへの期待を教えてください。
三上さん:
今後は、ブラウザベースの提供に留まらず、外部システムとの連携を可能にするAPI開発を一層強化していきます。すでに、自社保有のデータに当社の新鮮な属性情報をリアルタイムで付与したいというエンタープライズ企業様からの引き合いも多くいただいています。日本最大級の約800万件という、信頼性の高いオプトインデータの強みを活かし、企業のマーケティング活動を支える不可欠なインフラへと育てていきたいと考えています。
SaaSus Platformには、今後も料金メニューの細分化や、管理機能のさらなるアップデートを期待しています。私たちが安心してサービス価値の最大化に集中し続けられるよう、今後も強力なパートナーとして支えていただきたいですね。
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